2018年11月16日金曜日

「北海道の家」に誇りをもって

こんにちは。はかせです。

9月の地震の被害でいまだに苦労されている被災者の方たちが少しでも早く元の生活に戻れることを願っています。

この地震では、北広島と厚真のお客さんの家でも何軒か被害がありました。そこで、被害の様子を調査に伺いました。北広島では大曲並木3丁目で宅地の滑落・陥没が起きました。お客さんのお宅は同じ並木3丁目に20年ほど前に建てられましたが、幸い、被害が大きかった大曲川からはだいぶ離れていて、地盤に被害はまったくありません。ただ、外壁タイルと基礎に細いひびが入り、内部も壁クロスにひびが入ってしまいました。また、別のお客さんで北広島駅の方に、こちらも約20年前に建てたお宅で、やはり外壁タイルと基礎にひびが入ってしまいました。


また、上厚真のお客さんを訪ねたときは、いつも渡っている町内の橋がまだ通行止めで、別の道を通りました。途中、山道を走っているときは、道路沿いでも地滑りの跡が残っていて、地震による揺れの大きさが想像されます。一方、市街地へ近くにつれて民家が見えてきますが、倒壊しているような家は見当たりません。

このお客さんの家も築約20年になり、2年前には塗り替えと木部の改修工事はしましたが、離れて見てみても目立った被害はありませんでした。よく見ると確かに基礎に細かいひびが入っているのは分かりましたが、それ以上に、数百キロもある給湯ボイラーが地震の揺れで1mくらい移動してしまったことに、凄まじい揺れだったことを思い知らされます。壁クロスにもひびは入っていましたが、最大の震度7でもこの程度の被害で済んだのですから、丈夫な家を建てることが大切だとしみじみと思います。ともかくお客さんたちが無事でよかったです。


被害にあったお客さんたちですが、幸いにも地震保険をかけていた場合には保険金を受け取ることができました。地震保険は全壊で満額が支給されても建て替え費用には足りず、当座の生活費に充てるという趣旨のものらしいですが、今回のお客さんたちのように耐震性に影響がない軽微な被害であれば、補修工事の費用として利用することもできます。保険料はかかりますので、地震保険をかけるかどうかは悩ましいところですが、保険金が出たお客さんとそうでないお客さんとでは気持ちも全然ちがいましたので、金額的な損得だけでは決められないとも思いました。

地震保険では保険会社から被害調査にやって来ますので、その立会いの際に話を聞いてみると、やはり北海道では全体的に見て、地震による住宅の被害は、新潟や熊本など過去の本州における被害に比べて震度の大きさの割にそれほど大きくなかったそうです。北海道の住宅は雪の重さに耐えられるように本州以南よりも丈夫に建てられているので、ニュースで報道されたように全壊するのは珍しいようです。街中の商店など前面がすべて窓や引戸になっている建物は1階が潰れてしまったりしていますが、一般的な北海道の住宅は寒さに対抗するために窓を小さくしているので、地震の揺れに対しても丈夫な建物になっています。

ただし、今回のような地震が冬の積雪期に起きていたとしたら、被害はもっと大きくなっていたかもしれません。札幌の住宅街には四角い家が多く、ほとんどがスノーダクトのある無落雪屋根です。真冬には重く締まった雪が屋根の上にどっさりと溜まっています。冬場のブラックアウトが心配されていましたが、雪とどう向き合うかも北海道の家における重要な課題です。

家というのはその土地その土地に合わせて長い年月をかけて発展してきました。北海道は「開拓」によって初めは本州以南と同じような家が建てられましたが、積雪・寒冷に耐えるために北アメリカやヨーロッパからの技術を取り入れながら独自に改良されてきました。そして、さまざまな環境の変化に合わせて今も研究・開発が続けられています。まだ発展の歴史は浅いですが、こうしたことこそ、大手ハウスメーカーにはない地域に根ざした工務店の良さだと思います。地元の工務店が建てる「北海道の家」にもっと誇りを持っていいんじゃないかと思いました。

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