こんにちは。はかせです。
まだ雪が残る3月末に、アース21の道央・道南地区例会へ参加させてもらいました。その際、由仁の伊藤工務店の伊藤社長が改修工事を担当された栗山の味道広路というお店を見学し、お昼ご飯もそこでいただきました。ミシュランガイドで一つ星が付いたお店で、料理の味はもちろん、素晴らしいおもてなしでした。
住宅建材にも星が付いています。ミシュランは最高が三つ星ですが、こちらの最高ランクはF☆☆☆☆(エフ・フォースター)と呼ばれる「四つ星」です。けれども、そのF☆☆☆☆が付いた合板を1枚だけ事務所に置いていたところ、大変なことになりました。置いてから2、3日も経つと、室長もはかせも頭が痛くなり始めたのです。シックハウス症候群の症状だと気づいた室長は、急いで合板に抗酸化溶液を塗りました。すると、酷かった頭痛は翌日にはなんとか治まりました。
シックハウス症候群が社会的に注目され始めてから10年以上も経ちますが、幸い、はかせはこのときまで被害に遭うことはありませんでした。それにもかかわらず、建築の仕事に関わるようになってすぐに、しかも、F☆☆☆☆というシックハウス対策がとられたはずの合板によって、こんなに酷い症状に襲われたことにとても驚きました。正直なところ、はじめは抗酸化溶液の効果も信じていませんでしたが、頭痛が消えるのを身を以て体験して考えが変わりました。はかせがシックハウス症候群の症状と抗酸化溶液の効果を一度に体験することになった忘れられない出来事です。
大きな社会的問題としてシックハウス症候群が認識されるようになり、10年ほど前に「居室内において衛生上の支障を生ずるおそれがある物質」の一つとして、建材などから放散されるホルムアルデヒドが定められました(建築基準法施行令)。それにともない規制の対象となる建材はJIS(日本工業規格)などの認定を受け、ホルムアルデヒドの発散が5 μg/㎡h以下のものだけがF☆☆☆☆の表示を得て、使用面積の制限を受けずに使うことができます。
では、シックハウス対策がとられたF☆☆☆☆の合板で、いったいどうしてシックハウス症候群の症状が出たのでしょうか?
実は、シックハウス症候群の原因と考えられる揮発性有機化合物(VOC:volatile organic compound)はホルムアルデヒドだけではありません。厚生労働省によって、シックハウス症候群への対策として、ホルムアルデヒドを含む13種類の化学物質の室内濃度指針値が定められています。さらに、VOCは建材だけではなく家具なども発生源となるため、文部科学省の学校環境衛生の基準の中で、上記の13物質のうちホルムアルデヒドを含む6物質の測定が義務づけられています。つまり、F☆☆☆☆では必ずしも安全とは言えないということです。
室長とはかせは実際にF☆☆☆☆の合板でシックハウス症候群の症状が出ました。VOCを測定したわけではないので正確なことは言えませんが、6物質のうちのホルムアルデヒド以外のVOCが原因だったかもしれません。シックハウス症候群を予防するには、F☆☆☆☆の建材を使うだけでは不十分です。抗酸化工法でシックハウス症候群のリスクを減らし、健康で安心な住宅づくりを目指しましょう。
【参考】
建築基準法に基づくシックハウス対策について(国土交通省)
生活環境におけるシックハウス対策(厚生労働省)
[改訂版]学校環境衛生管理マニュアル(文部科学省)
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